冒険王

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 駒場アゴラ劇場で、「青年団」平田オリザ作演出の「冒険王」を観てきました。
今まで全く観たことがなかった青年団。
 見終わって転形劇場・太田省吾さんの無言劇「水の駅」を観た時の衝撃を思い起こしました。転形劇場では、客と対峙するように、挑発するかのように劇が始まりました。台詞のない芝居に苛立つ客を、嘲笑うかのようにゆっくり濃密に劇が展開されました。
 あれから数十年、時代が全く違う事もありますが、今日観た駒場アゴラ劇場では、静かに、むしろ優しく劇が始まりました。開場した時すでに俳優は舞台上に何気なくいるのです。席に案内され、座るまで気がつかないくらいでした。客同士の会話と同じテンションで、俳優同士も劇空間で会話しています。開演までに劇空間と客席の時間差が埋められる仕掛けです。と言っても客席が引き寄せられて行くのであって、劇空間にブレはまったくない事が後でわかるのですが・・
 時間になると満席の開場に案内の女性が、携帯等の電源を切るよう促して去ると、自然に俳優の会話がスタートします。まさに現代口語演劇の始まりです。
 俳優も含めた舞台上の全ての物が「芸」を見せません。意図も感じさせません。電車の扉が開き、目の前のドアから乗り、向かいの席に座っている人たちが会話を始め、いつの間にかそれを聞いている、そんな感じです。
 ラスト、照明がフェードアウトして数秒間の暗黒の後、割れんばかりの拍手が起こりました。
後になって、俳優も、台本も、劇場も 劇そのものも、全てがこの瞬間を迎える為の道具であった事に気づき、胸の閊えがとれたような満足感を覚えました。

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このページは、denが2008年11月16日 22:57に書いたブログ記事です。

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