Archive for 1月 7, 2009

発声法その3

 昨年東京校でレッスンをした時に、大阪校の卒業生がいて、久しぶりに会いました。ところが、声に大阪にいた頃の元気がなかったのです。才能を高く評価されていた人だけにショックでした。

考えられる原因の一つは住環境の変化です。親元を離れ、東京の狭いマンションに暮らすようになって、思うように稽古できなくなったのではないかと思うのです。声をひそめていると、声は出なくなります。私がいやと言うほど味わった苦い経験です。人間関係も変われば、話し相手も変わり、どうしても遠慮がちなってしまうのかもしれません。喉には様々なブレーキがあります。それで声の大きさを調整します。ブレーキがききすぎてロックがかかってしまうと、それをはずすのは、大変です。
息だけを強く出し過ぎたり、喉の筋肉に力を入れすぎたり、魔のスパイラルに陥ります。良いときの自分の声を出そうとするあまり、ブレーキを踏んだままアクセルをふかしているような状態です。速度は出てもブレーキ音が混じってとても表現にはなりません。
 車と違って声の場合やっかいなのは、ブレーキもアクセルも筋肉だと言う事です。両方同時に使っていると、いつのまにかアクセルを踏むとブレーキも連動するようになります。癖というやつです。なんでもそうですが、いったんついた癖を直すのは並大抵ではありません。
ブレーキをはずしてニュートラルにしてから、徐々に立て直すしか方法はありません。
 いろいろなところでレッスンをしてみて感じることは、基礎の大切さです。基本がしっかりしている人ほど修正も簡単なのです。基礎をしっかり身体にたたき込むには地味なトレーニングを積み重ねるしかないのですが、教える方もどうしても人気のある楽しいメニューに流れてしまいがちです。かと言って苦しいだけの稽古では誰もついてきてくれません。
教える方にも教わる方にも覚悟が必要です。覚悟を決めて、地獄の特訓をするべき時なのかもしれません。